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院長ブログ

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大腰筋リリース★福岡市西区早良区の整体院 ハンズオンセラピージョウ

 

今月に入ってから、私自身の腰痛を克服した体験から発見したある施術法が効果を発揮しています。

新型コロナウィルスによる感染が全国的に広がりはじめた3月のはじめ頃、ひどい腰痛に見舞われました。

私の長年のライフワークである武術の練習で、これまでとは異なる身体の使い方が出来るようになりました。
脊柱、つまり背骨をより効果的に運動に参加させるコツをつかんだようなものですが、これまで以上に強い力を出せるようになって、それが面白くて、その方法で練習を繰り返していました。
ただ、この身体の使い方は腰の奥深くにかなりの負担をかけるみたいで、ある日の練習後から腰がガチガチになってしまい、まともにお辞儀をすることもできなくなってしまい、階段の昇り降りにも支障をきたしてしまう状態になりました。

おかげで武術の練習もまともにできなくなり「こりゃいかん」と自分で自分の身体を施術して3週間くらいで普通の練習ができるくらいには回復しました。
しかし、腰のこわばりは残ったまま、足を開いてお腹までべったりつけることができていた柔軟運動も、それまでのようにはできなくなったまま、運動を再開していました。

折りしもコロナ渦が本格化して緊急事態宣言が発令され、仕事にもその影響が現れ始めた中、当院も感染拡大防止のために5月に入ってから臨時休業に入りました。
そんな大変な状況の中、こんなことを言っては不謹慎だとは思うのですが、これからの人生でこんなに自分の好きなことができる時間がもらえる機会はそうそうない、とばかりに朝昼夜と武術の稽古三昧の日々を送りました。
実際、53歳で自分の好きなことばっかりやって生活できることなんて、普通ではありえません。
おかげで、疲れはしましたが充実した日々を送ることとなりました。

しかし、腰に強いこわばりは残ったままで、6月に入って緊急事態宣言が解除された直後、再び、強い腰痛が現れました。
「こりゃ、運動ばっかりしてないでどうにかしないとやがて慢性化して面倒なことになるかも知れない」と、これまで以上の危機感が頭をもたげました。

 

大腰筋

今回の腰痛の原因は、お腹の奥深くにある大腰筋という筋肉の拘縮が原因であることはわかっていました。
なので、大腰筋を施術することで症状が緩和して、腰にこわばりが残るものの運動を再開することができたのですが、その時点では不十分でした。

大腰筋はお腹の奥深くにあり、立って姿勢を支える際に重要な役割を担います。


歩く時に骨盤や腰椎を安定させる重要な役割があります。
走る時には太腿の後ろ側にあるハムストリングスがバネのようして働くのに対して、大腿骨を引き付ける役割があり、あらゆる運動において重要な役割を担います。

しかし、お腹の奥深く、背中からすると背筋のさらに奥深くに存在するため、通常は意識されることはまずありません。
つまり、使いこなすことが難しいのですが、それができたらスポーツ選手のパフォーマンスは格段に上がると言われています。

私の場合、大腰筋を武術的により効果的に使うコツのようなものがわかり、そのため、脊柱をより強靭な状態にしてしまうことでこれまでの動きが変わったのですが、しかし、大腰筋にこれまで以上に負荷をかけることになってしまい、大腰筋の筋拘縮を招いた結果、ひどい腰痛に見舞われたものと推測します。

大腰筋はみぞおちのあたりから始まり、大腿骨、つまり太ももの骨の内側にある小転子というところまで続いています。
かなり長い筋肉で、その名の通り、大きな腰の筋肉です。この筋肉が日常生活の様々な所作や、歩く際、走る際、その他様々な運動における重要な役割を担います。

しかし、身体の前側にあって奥深くに存在する筋肉なので、自身でケアすることが難しく、拘縮しやすい特徴があるようです。
仮に大腰筋にストレッチをかけようとすると、身体を大きく反らせる必要があり、大抵は太腿の前側の筋肉が邪魔をしてしまい、ストレッチがかけにくい場所でもあります。
本当に効果的なストレッチをかけようとするならば、新体操の選手やヨガの達人のように身体全体を大きく反らす必要があり、そんなことは普通の人には到底、不可能です。

お仕事でデスクワークや長時間の車の運転などをされる場合、つまり座ったままの状態で何らかの作業を繰り返していると大腰筋は緩んでいるのですが、その緩んでいる状態が長い時間続いてしまうことで、たるんでいる大腰筋がいつの間にか拘縮してしまうことがあります。
このように筋肉が衰えて硬くなっていく、いわゆる退勢萎縮という筋肉の拘縮状態を招きます。

 

オーバーユースによる筋拘縮

又、運動選手がハードなトレーニングを繰り返す中、特に下半身のトレーニングにおいて、ハムストリングスの強い収縮に対して腰や骨盤を安定させるために反射的に大腰筋も強い収縮を余儀なくされるために、使いすぎて拘縮してしまう過用性萎縮があります。

つまり、使わなさすぎ、使い過ぎのどちらも筋肉のこわばりの原因となり、こと大腰筋に関しては、日常生活におけるケアの方法が難しいと言えます。

私の場合、今回の腰痛以前から、もともと左の腰に硬さを感じていたものの、仕事や運動には何ら支障はありませんでした。
なので、これといったケアもやっていなかったのですが、武術としてのパフォーマンスを上げることができた反面、もともと硬さの存在する大腰筋に過度に負担をかけ続けてしまい、そのため、大腰筋の筋萎縮がより強い筋拘縮に移行してしまい、腰痛に見舞われたものと考えられます。

施術においては、背筋があるので背中の方から大腰筋に直接触れることはできません。
そこでお腹の方から施術することになるのですが、まず腹筋があってその中に腸があり、その奥に腰の骨、つまり腰椎があってその両側に大腰筋があります。
なので、大腰筋に直接に触れていくためには腸を押し分けて、お腹の奥深くに指を押し込んでいく必要があり、かなりの痛みをともなうことが考えられました。
又、お腹の奥には大きな動脈が流れており、強い刺激を与えることは好ましくないのでは、とも考えていました。

そのため、普段の施術においては刺激はゼロに等しいハンズオンのみで調整し、直接、触圧を加える筋膜リリースは大腰筋に対しては採用していませんでした。
実際に現場での施術結果も出ていたのですが、自身の腰痛に対しては効果はあるが不十分であったと言わざるを得ませんでした。

 

大腰筋への筋膜リリース

そこで思いついたのが、この際、自分で大腰筋を直接リリース(調整)してみようというものでした。
大腰筋を直接に施術するということは、腸や動脈にも刺激を加えることが想定され、その痛みやリスクを考えると、お客様である患者様に用いることは躊躇せざるを得ませんでした。
しかし、今回の自分自身の腰痛に際しては、自分の身体だし、何かあっても自分の問題で済むし、ということで試してみることにしました。

私がやってみたのは、テニスボールと同じくらいの大きさの筋膜リリース用のボールと、高さをつけるための筋膜リリース用のグッズがあるのですが、これを使ってうつ伏せの状態でお腹の中の大腰筋をねらってボールを当てて、自分の体重を加えることで大腰筋をほぐすというものです。

試してみたところ、お腹の中にボールがじわじわと入り込んできたところ、予想通り、強い痛みが感じられました。
みぞおちの辺りから始めて、少しずつ下の方にずらしながら様子を見ていきます。
すると、大腰筋の付着部である胸椎の12番目から腰椎4番目あたりの間で何とも言えない強い痛みが感じられる場所があります。
この部分は他の場所とは違い、お腹の奥を突き抜けて背中側、腰の方にまで独特の痛みが感じられたのです。
「ウォー、効いとる・・・」

2分程度、そのままの状態でやってみてボールを外したところ、なんと!それまでの腰の痛みがきれいになくなって、こわばり感も解消しました!!

我ながら驚きました。こんなアナログな方法で、あの強い腰痛が無くなるなんて・・・。

オステオパシーのテクニックでも大腰筋に対してはマッスル・エネルギ・ーテクニックという方法を教わったことはありましたが、直接、リリース(調整)する方法はありませんでした。

懸念されていた小腸、大腸、および腹部大動脈に対する影響も全くありませんでした。
よく考えてみれば、腸や動脈は本来、軟部組織であり、そこに何らの病変、つまり組織が硬直したり硬化したりといった病変があれば、今回のそれとは比べ物にならない耐えがたいほどの痛みが生じることが考えられるし、そもそも柔らかい組織なので、大腰筋を目指して指などが介入したとしても、腸や動脈の組織そのものが柔軟に形状を変化させたり位置を変えたりすることで傷つくことはあり得なかったのだ、とも考えられます。

その後、腰の痛みは解消し、驚いたことに武術における動きの質が以前よりも更によくなっています。

私見では、左大腰筋の拘縮が仮に以前の状態が100%だとすると、現在は20%以下に落ち着いています。症状はなくなっていますがゼロではないと思いますので、今後もケアを続けて行くつもりです。

しかし、まさにコロンブスの卵です。

今回の体験を踏まえて大腰筋に対する筋膜リリースを考案して、その後、ご来院いただいている患者さまにも許可をいただいた上で、何人もの方に試させていただいたところ、実に驚くべき効果が確認されています。

大腰筋の施術は当院の大きな特徴であると自負しておりましたが、その大腰筋の施術が更に大きく前進しました。

大腰筋は人体の構造上、胴体と下肢をつなぐという重要な役割があり、あらゆる運動に対して、運動器としてその中心的な役割を担う可能性があります。
そのため、大腰筋のケアが行き届いているかどうかが、腰に限らず、全身各所の筋肉、筋膜を介しての運動器に対しての影響もあり得ると考えられます。

この施術法を「大腰筋リリース」と称して、筋膜リリースとしては他の部位と比較しても重要視すべき施術法として位置づけております。
症状の改善、健康状態の向上に貢献することができる力強い施術法のひとつとなりそうです。

大腰筋リリースを行なったところ、これまでにはなかった特徴的な施術の効果が確認できています。
それについては次回以降、紹介させていただきたいと思います。

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