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院長ブログ

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腸腰筋と内転筋

前回のブログで大腰筋には隠れ筋拘縮、すなわち一見解放されたように見えるようでも、実は大腰筋の中に筋拘縮が残っているケースがあるということを書きました。

筋拘縮とは筋肉のこわばり、不随意的な持続的な緊張を意味します。

 

見逃しがちな筋肉の拘縮

そのような隠れ筋拘縮は大腰筋に限らず、どの筋肉にも起こり得ると考えられますが、重要な施術拠点と言える大腰筋に関しては、その筋拘縮を如何にとらえることが出来るかどうかが施術家としての腕の見せ所です。

 

内転筋の筋拘縮

私の経験上、大腰筋の筋拘縮がある場合、大腿部の内側にある内転筋も同時に筋拘縮しているケースが多々あります。

筋膜同士のネットワークによる作用なのかも知れませんし、立位における姿勢保持や歩行の際の筋肉の連動作用によるものなのかも知れませんが、いずれにしても、大腰筋に筋拘縮が見られなくても内転筋に筋拘縮はある場合は大腰筋に隠れ筋拘縮があると考えていいと思います。

内転筋には恥骨筋、小内転筋、短内転筋、大内転筋、長内転筋、薄筋などがあり、太ももの内側にある筋肉としては強力で重要な役割があります。
立って行動するという人間の身体活動において、下半身を安定させるために内転筋は重要な役割を担っています。

下肢をバネのように動かすのが太ももの裏側のハムストリングスで、膝を安定させるのが太ももの前側である大腿四頭筋であるとして、下肢を内側から支える役割があるのが内転筋です。

川にかかっている橋を見てみると梁(はり)がありますが、内転筋は橋の内側の梁のようなものです。
この梁のおかげで簡単には崩れ落ちないような構造的な強度を得ていますが、人間の足を橋に見立てると、内転筋は橋の梁のような役割をも持っていると言えます。

 

大腰筋と内転筋

内転筋が拘縮するから大腰筋が拘縮するのか、大腰筋が拘縮するから内転筋が拘縮するのかはわかりませんが、大腰筋の拘縮がなくなると内転筋の拘縮もなくなります。

なので、大腰筋と内転筋が互いに作用しあっていることは間違いありません。

腰痛などの症状改善において、大腰筋は避けては通れない重要な部位ですが、その大腰筋の隠れ筋拘縮を見逃さないために内転筋の筋拘縮の有無を確認して、大腰筋の施術によって内転筋の筋拘縮がなくなることをもって大腰筋の施術の効果を評価することが出来ます。

また、このような筋拘縮のつながりから考察するに、膝や足首など、下肢の症状においては大腰筋、腸骨筋、場合によっては内転筋のかかわりが必ずあり得ることが認められます。

このような発想をもって施術にあたると、筋膜によるつながりによって様々な状況が起こり得ることが想定され、人間の身体が示す現象は多様であり、時として想定外のことも起こりうることもあり、手持ちの理論が全てではないということを想定して施術にあたるべきであるものと考えます。

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