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院長ブログ

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起立性調節障害についての一考察

様々な起立性調節障害のパターン

これまでに何人もの「起立性調節障害」と診断された方、また、その疑いがあるといった方がご来院され、施術をさせていただいた経験から推察、考察される事案がいくつかあります。

起立性調節障害と診断される症状について、その発症のパターン、症状の形態が共通する場合とそうでない場合があります。

多いのが、朝、起床する時間になっても床から出ることができずに学校の始業時間になっても登校することができずに学校生活に大きな支障が生じるような状態。

座っている状態から立ち上がると、貧血様の症状があらわれすぐに立つことができないといった症状。

同じように立っている状態、座っている状態、つまり上体を起こしている状態が大変に辛く、横になっている状態でいないと過ごすことができないといった症状などが挙げられます。

これらは原因が不明でも類似した症状の場合、一様に起立調節性障害と診断される場合が多いようです。
病院でも処方される薬剤や処置法も特定されてはいないようです。

横になっている寝ている状態から立ち上がろうとすると、全身の血流の変化が起こります。
寝ている状態では心臓のある位置と身体全体の高さが同じであるので、血圧は立っている状態に比べて低くてもよいのですが、この状態から立ち上がろうとすると頭の位置が心臓よりも上になるので、上半身に血液を引き上げるために血液を流すための圧力、つまり血圧を上げる必要となります。
頭の方まで血液を流すために血圧が上げる必要が生じるのですが、これがうまくできていために頭部、すなわち脳への血流量が低下してしまうので、立つことができない、あるいは立ち続けることが困難な状態になってしまいます。

血圧を上げるということは、自律神経の交感神経が作動して、毛細血管を収縮させて血液の流れを引き上げる必要が生じますが、その交感神経のスイッチがうまく入らないためにこの様な症状が起きていると考えられ、自律神経のトラブルが原因であるとも考えられています。

発症される方々の多くは皆、中学生、高校生であり、その成長段階において自律神経の発育が不十分であるためにこのような症状が起きるとも言われておりますが、その原因はいまだ不明とされています。

 

頭蓋仙骨療法によるアプローチ

施術させていただくにあたって、当初は、頭蓋仙骨系のトラブルが主な原因ではないかと考え、頭蓋仙骨治療を中心とした施術を行なっておりました。

実際に頭蓋骨の可動性が大きく減少しているケースの方が多く、頭蓋骨の可動性の向上がある程度でも成功すると症状に変化が現れます。
これは頭蓋仙骨療法によって脳内の血流が促進されことによって、脳内の酸素不足が緩和したものと考えられます。
中には頭蓋骨の動きがほとんど感じられないほどにその動きが減少していた方もおられたので、頭蓋骨の可動性、つまり頭蓋仙骨系と言われる系統のトラブルが症状の原因に大きく関与している可能性は大いにあります。

頭蓋仙骨療法のページはこちら

 

下肢の筋拘縮

そして、何人かの方々に共通して起きている筋肉状態があることを発見しました。
それは下半身、つまり脚の筋肉に著しい筋肉の拘縮が生じているケースが多かったということです。

皆さん、そのような症状があるので激しい運動に取り組むことはおろか、日常生活での運動量も大きく低下しているので、スポーツや運動による筋肉疲労による筋肉の拘縮があることは考えられません。
なので反対のパターン、運動量の低下による退勢委縮、つまり筋拘縮が起きている可能性があるのはないかと考えました。

そこで下肢、それも主に太腿の裏側にあたるハムストリングス、ふくらはぎの筋肉を施術して筋拘縮を緩和させると症状が軽減し、朝起床できることができる頻度が向上したり、座っている状態から立ち上がることが問題なくできるようになったと云った症例が増えました。

ふくらはぎは全身の筋肉の中でも筋線維が密集しているといわれるパーツで、歩くことなどによってなされる筋肉中の毛細血管によるポンプ作用は、第2の心臓と呼ばれるほどにその血流に対する影響は大きい部位です。
その部位に筋拘縮、すなわち筋肉の硬化が生じると、血流の低下が慢性的に生じてしまっている可能性があり、起き上がる際に下半身の血液を上半身に引き上げる機能に大きな支障が生じ、脳への血液の供給量が一時的に大きく低下してしまっていることが考えられます。

しかし、運動やスポーツで同じようにハムストリングスやふくらはぎに筋拘縮が生じている人たちも多くいるのに、何故、同じような症状が現れないのかという疑問も生じます。
しかし、これは普段から運動している人たちは、運動による筋肉運動、つまり、筋肉の収縮活動が盛んで、毛細血管のポンプ作用も活発であるために姿勢変化による脳への血流量の低下などの問題も現れないないのではないかと考えられます。

オステオパシーとハンズオンセラピーのページはこちら

 

起立性調節障害に対するアプローチ

いまだに症状の原因が解明されていないので明言することはできませんが、整体施術の観点から考察される対策、対応法としては、頭蓋仙骨療法によって頭蓋骨の可動性を引き上げることによる脳内の血流量の向上、頚深部、腹部深部の筋拘縮を緩和させることによる動脈の血流量の引き上げ、ハムストリングス、ふくらはぎの筋拘縮を緩和させ、下半身の毛細血管のポンプ作用の促進に寄与することなどが、現段階では最善ではないかと考えます。

もし症状に変化が現れ、日常生活における運動が少しでも出来るようになってきたら、ウォーキングなどは極力、行うようにすべきと考えます。
歩くことによって下半身のポンプ作用を促すことはもとより、脳機能が活性化されることが立証されてきているためでもあります。
自発的な運動によって身体に備わっている本来の機能を回復させ、症状を軽減させることが必要であり、施術はその助けとして位置づけされます。

現代医学でも原因が解明されおらず対処法が確立されていない症状であり、このように処置すれば確実に症状が改善するという方程式を求めることは確率の上でも困難な状態ではありますが、可能性はゼロではなく、今後もこの症状の改善に対して研究、考察を続けてまいりたいと思います。

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