引っ張りあう筋肉たち

筋膜のつながり
筋肉は筋膜という組織によって覆われており、それぞれの異なる筋肉も筋膜によってつながっていると言われます。
歩く動作、走る動作、跳ぶ動作、物を持ち上げる動作・・・人体における様々な動きは全身の筋肉の連動であり、それは筋膜によるネットワークによる筋膜連鎖とも言われ、ある動作に対していくつも筋肉が連動することによって運動が行なわれており、その精妙さは筋膜のつながりによってなされる筋収縮の連携であるとも言われます。

筋拘縮の連鎖
お身体の痛みや不調の原因となる筋肉のこわばり、つまり筋拘縮も筋膜連鎖に基づいてとらえていくと、症状の原因となっている筋肉の拘縮が他の筋肉の拘縮によって起きていると考えられます。
ある筋肉が骨格を引っ張ろうとすれば引っ張り返そうとする筋肉が現れ、身体の中で筋肉同士の引っ張り合いが始まり、場合によってそれは複雑になっていき、痛みや不調の原因となる・・・。
そのような仮説に基づいて、筋肉の流れ、走行、拮抗する筋肉の存在、筋膜としてのつながりなどを考察してある筋肉の拘縮がどこかの筋肉の拘縮を招いていると想定します。

筋膜連鎖に基づいた筋拘縮の施術
当院ではそのような筋・筋膜連鎖にもとづいて筋拘縮の本体を探し出します。
腸腰筋と内転筋、腸腰筋と斜角筋、ハムストリングスと梨状筋などの外旋六筋、斜角筋と内側翼突筋、内側翼突筋と側頭筋などはこれまでの経験上、互いに拘縮しやすい筋肉で、一方の筋拘縮が緩和するともう一方の筋拘縮も緩和するか、緩和しやすくなります。
首の施術によって膝の痛みがなくなったり、腰の施術によって首や肩の症状が緩和したり、顎の施術によって股関節の痛みが緩和したりと云ったように、患部に直接施術しているわけではないのに症状が解消したり軽減するといった現象が現れるのはこのような筋膜連鎖による筋拘縮が緩和されたことによるものです。

筋肉同士の引っ張りあい
当院ではこれらを筋肉同士の引っ張り合い現象としてとらえます。
引っ張り合いが表と裏、上と下、対角線上など、単純に起こっている場合もあれば、まるで糸がもつれるかのようにいくつかの筋肉が複雑に引っ張りあっている場合もあります。
いずれにしても、このような状態が痛みや不調の原因であるとしてこのような筋肉同士の引っ張り合いが無い状態、少ない状態、軽い状態を目指して施術を進めます。

専門書に記載されているような筋膜連鎖もあれば、それが当てはまらないような筋膜連鎖も多くありますので、どのような症状の患者様に対しても適用される筋膜連鎖と、それとは異なるパターンの筋膜連鎖も存在するということを念頭において施術にあたる必要があります。
思わぬ筋膜連鎖が発見されることもあり、人体の精妙さは私の想定を常に覆してくれます。

経験上、筋膜連鎖、筋肉の引っ張りあいをいかに緩和させるかが施術家としての腕の見せ所であり、今後も研究を進めてまいります。
