仙骨変位による身体内部の変化の把握

当院の施術に於いては、仙骨の変位を読み取ることで症状とのかかわりがある系統を判断する検査法を用いております。
四足歩行で仙骨には物理的に負荷のかからない構造であった動物が、二足歩行に進化したことで仙骨に垂直方向の荷重が生じたと言えます。
しかし、仙骨は人体の中心に位置しており、両側に腸骨、上には脊椎があって構造的に簡単に変位する場所ではないと考えます。
そもそも仙骨が簡単にグラグラするように歪んだり傾いたりしていては、太古より人類がまともに生存して生活していくこと自体が不可能だったのではないかと考えられ、仙骨の歪み、つまり変位は、脊柱の骨格構造的な問題とは異なる要因が考えられます。
硬膜による仙骨変位

仙骨に変位がある場合、頭蓋骨の問題が硬膜を介して仙骨に現れていると考えられるし、硬膜そのもの緊張や引きつれのような状態などの何らかの問題によっても、それが仙骨に現れるものと考えます。
なので、頭蓋仙骨療法によって仙骨変位が無くなったり、反対に現れたりするという現象は脊髄硬膜に対して何らかの働きかけが出来ているものと言えます。
そのため、仙骨変位の有無を捉えることが出来るかどうかが、硬膜系と言われる症状の原因を特定していく際に大変重要になります。
頭蓋仙骨療法による仙骨変位の把握
オステオパシーの頭蓋仙骨療法は、頭蓋骨の調整を行なうことで脊柱の中にある脊髄硬膜に働きかけることが出来ます。
オステオパシー療法を学び始めて数年の頃、仙骨変位について学ぶ機会がありました。
すぐに施術の現場で仙骨変位の判断方法を取り入れたのですが、頭蓋仙骨療法によって仙骨の変位が無くなったり、現れたりといった現象が確認できるようになりました。
これによって頭蓋骨の触診に加えて、仙骨の変位を把握することで硬膜の状態をより客観的に捉えることが出来るようになりました。
深層筋による仙骨変位
当初は頭蓋仙骨療法が脊髄硬膜に有効に働いているかどうかを判定するために仙骨変位の変動を観察していたのですが、腸腰筋という骨盤内部の深層筋の施術に於いても仙骨変位が確認されました。
内臓による仙骨変位
これにて、施術の重点を筋膜系に置くか、硬膜系に置くかの判断がより的確になさられるようになったのですが、やがて、肝臓や副腎と云った内臓の施術に於いても仙骨の変動が確認されるようになりました。
それまでの施術の常識を覆されるような体験の繰り返しでしたが、それらは私の施術の内容を大きく前進させてくれる発見でした。
これは、身体内部のわずかな病変が仙骨に現れるということの発見であり、それを判断することで症状の原因が筋肉にあるのか、硬膜にあるのか、内臓にあるのか、ということをより的確にとらえることが出来るようになりました。
頭蓋骨の動き、内臓の自動力と言われるエネルギーの動き、これらは微細、微小であり、術者の触診力に大きく左右されます。
これに対して、仙骨変位の検出は術者の触診力に関わらず、はっきりと形に出てくるので、より客観的で確実なお身体の情報として施術者の施術方針の助けとなります。
横隔膜による仙骨変位
さらに、横隔膜の変位を捉えていく際にも仙骨変位の判断が有効であることが発見され、骨盤底筋においても然りです。
横隔膜や骨盤底筋の緊張も触診で把握できる部分とそうでない部分があり、深部の筋拘縮は手で触れることができない所にあることがありますが、これも仙骨変位で見極めることが出来ます。
仙骨変位による症状の原因の把握
現在、症状の原因や関りが、頭蓋骨、硬膜、肝臓や副腎と云った内臓、腸腰筋や斜角筋といった深層筋、横隔膜や骨盤底筋と云った横方向に存在する筋肉等のどこに存在するのかを把握していく上で仙骨変位の判断が大変重要となっており、その変動を把握していくことで、より効果的に施術を進めていくことが可能となっております。
当院では難治性の症状でお困りの方が多く見えられます。
慢性化した難治の症状に対して、その原因にいかに近付くことが出来るかが症状克服のための重要な要素になります。
オステオパシー理論に基づいた施術体系を実践している当院では、症状の原因を脊髄硬膜、筋膜、内臓等に分類して、仙骨変位によってその比重や重要性を的確に把握することで、より効果的に施術を進めていくことが可能となっております。
微小な変位を捉える
仙骨変位は仙骨上の仮想軸の中で8パターンに分類され、ほんの数ミリ、大きくても1センチくらいのわずかなものです。
しかし、そのわずかな変位は症状の本当の原因がどこにあるのか、そして施術の進行状況等を明確に示してくれます。
そして、微小であるために仙骨変位のとらえ方を正確に理解して把握している施術者でないと、それを判断することは出来ません。
当院では仙骨変位の判断を重要な検査法として採用しており、これは他の療法には見られないオステオパシー療法特有のものです。
筋肉の拘縮度、圧痛の有無、頭蓋骨の可動性、内臓自動力など、触診による個々の判断が仙骨変位の把握によって、より有機的につながり、有効に活用出来るものとなり得ます。
これらの検査法を施術の現場で生かし、使いこなすことで患者様の症状改善、症状克服のためにより一層、貢献してまいりたいと思います。
